ニアショア開発の特徴やメリット・課題を解説
- 「ニアショア開発って、よく聞くけどどういう意味?」
- 「ニアショア開発って、オフショア開発と比べてメリットがあるの?」
という疑問をお持ちではありませんか?
そこでこの記事ではそんな「ニアショア開発がわからない」というお悩みを、2年間、開発会社を経営していた経験から説明します。
具体的には
- ニアショア開発の意味
- オフショア開発との違い
- システム開発費用を安く抑える方法
の順番にご紹介していきます。
5分くらいで読めますし、ニアショア開発についてのよく分かる内容となっておりますので、ぜひ読んでみてください。
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ニアショア開発とは
ニアショア開発とは、近くの企業にシステム開発を依頼する開発方法のことを意味します。
ニアショア開発における「近くの企業」とは、物理的に距離が近い企業、主に国内にある企業のことです。
たとえば、東京都内にオフィスがあり、実際にオフィスや社内の雰囲気をみることができれば、依頼するときに判断基準が増えるでしょう。
また、日本語でやりとりできるため余計なコミュニケーションのコストを削減し、部分的な開発の依頼をニュアンスで伝えることもできます。
ニアショア開発でシステムを外部委託することを検討している場合、国内の企業をピックアップしてニアショア開発をおこなうことが考えられるでしょう。
ニアショアの意味
ニアショアは「near(近い)」と「shore(岸)」という単語が合わさった言葉であり、システム開発における外注先を選別するときに用いられます。
たとえば、都心の企業が地方の企業に開発を外注するケースなどが、ニアショア開発に該当します。
基本的に国内企業のことを指すケースがほとんどで、安い地方の企業に業務委託をするなど、コスト削減や人的リソースの確保のために用いられる手法です。
業務を円滑にし、海外情勢に影響されない国内企業だからこそのメリットで、ニアショア開発はしばしば注目されます。
では、ニアショアと一緒によく調べられるオフショアとの違いも知っておきましょう。
オフショア開発との違い
ニアショア開発とよく比較されるのが、オフショア開発です。
オフショア開発は、海外の企業にシステム開発を依頼する開発方法を意味します。
「off(離れている)」「shore(岸)」という単語を組み合わせた言葉で、ニアショアとの違いはシステム開発の外部委託先が「国内か国外か」という点です。
オフショア開発では中国、インド、ベトナムなどにある企業と提携して、システム開発をおこないます。
ニアショア開発とは違った視点から開発の依頼を検討しなくてはならないため、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
ニアショア開発のメリット
ニアショア開発を実施することには、いくつかのメリットがあります。
メリットを踏まえて活用することで、システム開発のプロジェクトをスムーズに進められるでしょう。
- 開発コストを抑えられる
- コミュニケーションの問題が発生しない
特にメリットとして効果が高いこれらの要素は、ぜひこの機会にチェックしてみてください。
開発コストを抑えられる
ニアショア開発のメリットの1つは、開発コストを抑えられることです。
地方の企業は最低賃金が都市部と比較して安いので、委託することで人件費を抑えることができます。
システム開発におけるコストの多くは一般的に人件費によって占められているため、ニアショア開発によるメリットは大きくなるでしょう。
ニアショア開発では単純な人件費だけでなく、プロジェクト中に発生する移動費用なども削減できます。
たとえば、直接的な打ち合わせをして開発プロジェクトを進めたいときも、テレビ通話などのリモート環境を使うことでスムーズにコミュニケーションが取れるでしょう。
そのため電車や飛行機などを使う機会はほとんどなく、コストの節約につなげられるのです。
また、近年は都市部のニアショア開発の需要に応えるために、積極的にニアショア開発の誘致をおこなう県も増えています。
空港からのアクセスが良い地方企業にシステム開発を委託することで、開発コストはさらに安く抑えられるでしょう。
コミュニケーションの問題が発生しない
ニアショア開発は国内で全ての開発工程が進められるため、基本的にコミュニケーションの問題が発生しません。
また、万が一システム開発の作業に問題が発生しても、すぐに状況を確認して対処することが可能です。
リソースをシステム開発に集中できる点も、ニアショア開発ならではのメリットになるでしょう。
オフショア開発の場合、海外のエンジニアとのやりとりになるため、まず日本語を正確に伝えることが難しいです。
通訳(ブリッジSE)を挟んでやりとりをすることになれば、意思疎通が困難となって余計な時間をかけることもあります。
最悪の場合には間違った意図がエンジニアに伝わってしまい、要件定義や仕様の確認からやり直さなければならないケースも考えられるでしょう。
また、時差がある海外企業に委託する場合、スムーズな連絡を取ることが難しくなるケースもあります。
コミュニケーションのレスポンスが悪くなれば、それだけ開発の進捗にも影響が出てしまうでしょう。
その点、ニアショア開発は国内同士でのコミュニケーションになるので、対応できる時間のズレを気にする必要はありません。
ニアショア開発の課題・デメリット
多くのメリットを持つニアショア開発ですが、いくつかの課題があることもまた事実です。
以下からはニアショア開発をおこなう際に、注意しておきたいポイントを紹介します。
- エンジニアの確保が難しい
- 高い品質を維持するための工夫が必要
失敗しないために、事前に確認しておきたい項目ですので、ぜひ参考にしてください。
エンジニアの確保が難しい
ニアショア開発を実施する際には、エンジニアの確保に頭を悩ませることが多いです。
国内では現在IT技術者の人材不足が問題となっているため、システム開発をおこなえるエンジニアを集めるのが困難になることがあります。
特にニアショア開発の委託先となる地方でエンジニアをしている人の数は少なく、開発の依頼をしたくても必要な環境が整わないという可能性もあるのです。
経済産業省がおこなった「IT 人材需給に関する調査」によると、2030年には最大で79万人ものIT人材が不足するという予測が立てられています。
さらに昨今は新型コロナウィルスの影響で、海外の企業に委託するケースが減ると考えられるので、ニアショア開発の需要が高まる可能性もあるでしょう。
以上のことから、今後も慢性的にエンジニアの確保が難しくなることが、ニアショア開発の課題になると考えられます。
高い品質を維持するための工夫が必要
ニアショア開発で高い品質を維持するためには、エンジニアの質や外注先の企業を吟味するなどの工夫が必要です。
国内で高いスキルを持つエンジニアは、その実力を活かせる都市部で働くことが多いです。
そのため地方を中心としたニアショア開発では、スキル不足や必要なプログラミング言語を使える人材がいないといったケースも考えられます。
高い品質を求める場合には、事前にエンジニアの保有スキルや実績をきちんと確認する必要があるでしょう。
地方のIT企業は業務実態に関する情報が少ないケースも多く、具体的にどんな対応をしてくれるのかがわからないこともあります。
そのため複数の企業に話を聞いて、自社の求める条件にマッチする会社を探す工夫も必要です。
開発費用もしっかりと見積もりをとって、納得のできる条件を提示してくれる企業に依頼しましょう。
ニアショア開発に向いたプロジェクトは?
ニアショア開発に向いたプロジェクトは、以下のような目的をもったシステム開発です。
- 社内のリソース不足を補いたい
- 高い品質を保ちたい
- コミュニケーションコストを下げたい
- 一定以上のコスト(予算)を用意して取り組みたい
- 慣習や言葉の差異なく進めたい
- 責任者を育成して安定的に開発をしたい
ニアショア開発のメリットを踏まえると、一定のコストをかけて高品質なサービスを安定的に提供したいプロジェクトに向いていることがわかります。
また、社内にエンジニアがいるが、リソースが足りていないといった場合の救済策としても活用できるでしょう。
プロジェクトのリーダーとして社内エンジニアを育成し、新しいサービスの運営強化につなげる狙いにも利用できます。
ただし、ニアショア開発を依頼できるシステム開発会社を探すのに苦労してしまうというデメリットは課題の1つです。
ジツゲン!(NOVEL株式会社)では、開発のご相談をお受けしております。
システム開発に必要な費用から内容まで丁寧に説明させていただき、適切なソリューションを提案します。
依頼する開発会社を探している、どこまで依頼できるのかわからないとお考えの方は、ぜひご相談ください。
ニアショア開発の工程・流れ
ニアショア開発の工程・流れは、国内の企業に依頼するため『一般的なシステム開発の流れとほぼ同じ』です。
具体的には、以下のような工程・流れでニアショア開発は進みます。
- 要件定義
- 内部設計
- プログラミング
- テスト
- 受け入れテスト
- 保守運用
要件定義で企画書にまとめ、内部設計からプログラミング、テストを通してリリースまで進めていきます。
通常、期間が長くなればなるほど開発に必要な費用は高くなります。
そのため、要件定義の時点でニアショア開発する内容を細かく決定し、必要な工程の分だけ依頼しましょう。
システム開発の工程・流れについては以下の記事が参考になります。
ニアショア開発に必要な費用相場
ニアショア開発は、1ヶ月で人材1人、東京の平均相場では1人月なら80万円ほどです。
計算には「人材×開発期間×月費用」を用い、3名のシステム開発会社の人材を、3ヶ月で依頼すると『3人×3ヶ月×80万円=720万円』が費用の相場であることがわかります。
この計算式に当てはめてみると、プログラマーならフリーランスだと40万程度~、システムエンジニアになると80万円程度~となり、相場には違いがありますが、全体の幅は40~150万円ほど。
つまり、システム関係者と役割に応じて費用が変わるため、計算式は目安として使うようにするわけです。
また、以下の開発費用の事例もニアショア開発の目安となるため参考にしてください。
システムの種類 | 料金相場 | 必要な機能例 |
---|---|---|
CMS | 100〜300万円程度 | コンテンツ作成、編集、ユーザー管理、マーケティング他 |
マッチングサイト | 300〜1500万円程度 | ログイン・ログアウト、会員登録、管理画面、権限管理、メール通知、検索他 |
ポータルサイト | 200〜1000万円程度 | ログイン・ログアウト、会員登録、口コミ管理、ポイント管理、掲示板他(サイトの内容によって異なる) |
ECサイト | 200〜1000万円程度 | ショッピングカート、決済、セキュリティ、受注管理メール配信、スマートフォンアプリ他 |
SNS | 500〜3000万円程度 | ユーザー情報管理、チャット、メッセージ、フォロー、リアクション、検索、アンケート、ブログ、タイムライン、通知他 |
予約システム | 300〜500万円程度 | 予約、予約管理、顧客管理、売上管理、メール通知、CSV出力他 |
ここからは、ニアショア開発で課題となる費用を安く抑える方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ニアショア開発の費用を安く抑える方法
ニアショア開発をおこなう際には、システム開発費用を安く抑える方法もチェックしておくことがおすすめです。
事前に費用を抑制するポイントを把握しておくことで、無駄なコストをかけずに必要なシステムを開発できます。
- 依頼内容を少なくする
- フリーランス・副業に委託する
- オフショア開発を検討する
それぞれの内容を確認して、ニアショア開発の費用を安価にする工夫をしてみましょう。
依頼内容を少なくする
一般的に、ニアショア開発は、依頼する内容が増えるほど開発費用が高くなります。
そのため、外注先への依頼は必要最低限の内容に変更して、開発コストを抑えることがおすすめです。
すべてを外注先に丸投げするのではなく、自社でできる部分を把握して、できる限り依頼内容を減らすことも検討してみてください。
ニアショア開発の依頼内容を少なくすることは費用が安くなるだけでなく、エンジニアを探しやすくなったり、納期に余裕が生まれたりといったメリットにもつながります。
依頼内容が少なくなれば必要な環境や規模の条件も緩くなるので、ニアショア開発におけるエンジニアの確保が難しいといった課題もクリアしやすくなるでしょう。
また、依頼内容をあらかじめ少なくしておけば、後から追加の業務が必要になった場合にも、予算内でまかないやすくなります。
その後の変更も考慮して、最初の段階では意図的に依頼内容を少なくするのもポイントです。
フリーランス・副業に委託する
システム開発の外注は、フリーランスや副業のエンジニアに依頼することでより安く抑えられます。
クラウドソーシングなどのサービスを通せば、システム開発のスキルを持ったエンジニアに簡単に依頼が可能です。
求める条件をクリアできるエンジニアをピックアップして、見積もりをおこなってみることも考えられます。
ただし、フリーランスや副業のエンジニアの中には、こちらの要求を十分に満たしてくれない人材も多いです。
こちら側でしっかりとした管理をする必要も出てくるので、余計なトラブルや手間が増える可能性もあるでしょう。
フリーランスや副業に委託する場合には、信頼できる相手かどうかをきちんと見極めるのもポイントです。
オフショア開発と一緒に比較・検討する
ニアショア開発を検討していて、コストが高くつくことが予想されるならオフショア開発も比較対象として検討してみるのがおすすめです。
オフショア開発は、開発コストの削減やリソースの確保に役立ちます。
また、国内のエンジニア不足を補う手段としても選びやすいでしょう。
- 大量の開発リソースを低コストで確保できる
- 仕様変更のリクエストを自由に出せる
といったメリットがあり、ニアショアとは違った戦略を打ち出すこともできます。
オフショア開発を検討し、ニアショア開発にはない方法でシステムを構築できないかは1度検討してみるとよいでしょう。
ニアショア開発に成功するためのポイント
ニアショア開発に成功するためには、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
- コスト削減ばかりに目を向けない
- 要件定義は細かくしておく
- 依頼する企業は比較・検討を十分におこなう
ニアショア開発は、コストが高くなりやすい傾向があるため、つい削減のために色々な施策を打ち出してしまいます。
しかし、コスト削減に目を向けるあまり、品質の低下や納期の遅れといったトラブルを引き起こしてしまっては本末転倒です。
そのため、要件定義は細かくしておき、必要な部分だけを依頼できるようにしておくとよいでしょう。
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- ✔ エンジニアが退職してしまった
- ✔ 開発が進まない
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まとめ
この記事では、ニアショア開発について解説しましたがいかがでしたしょうか。
ニアショア開発をおこなう際にはそのメリットと課題を知っておくことがポイントですので、内容を参考に開発を検討してみてくださいね。
また、依頼する前にはシステム開発会社の比較・検討を十分におこなうことも大切です。
なぜなら、それぞれの得意領域があり、知見・実績・経験によって完成するシステムの品質が変わるためです。
依頼する開発会社を探している、どこまで依頼できるのかわからないとお考えの方は、ぜひご相談ください。